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メジロ繁殖レポート 松山主任に聞く (1/3)

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 メジロ通信ではこれまでメジロ牧場で育成に携わっている方々のお話をご紹介してきましたが、今回はメジロ牧場の繁殖主任である松山さんにお話を伺うことができました。育成部門だけでなく、繁殖部門でも行っている新しい試みや改革、そして血統や配合についてどのように考えているかもお伺いしています。
 なお、これは2009年の夏に管理人がメジロ牧場にお伺いした際にインタビューしたものであり、ご紹介が遅れましたことをこの場をお借りしまして、お詫びいたします。(管理人 ジリ)

――松山さんはもともと育成にいらっしゃって、繁殖から変えていきたいから繁殖に移られたと伺っていますが

松山主任  育成から入りましたが、もともとは繁殖希望でした。ですから変える変えない以前にまず繁殖の仕事をやりたいというのがありました。環境や時代が変わって繁殖の管理の仕方が変わっていく中で、メジロ牧場で繁殖だけがずっと何十年も同じことをやっていました。確かに夜間放牧を始めたり、コンサルティングを受けたりした時期もありましたが、もう少し根本的なところでやり方とかを変えていかないとダメじゃないかなと思っていました。

――育成から繁殖に移ってきて、まず感じたことは何でしたか

 やっぱり繁殖というとどこでもそうですが、少ない人数でやっているので、能率というか段取りなどの作業の面が優先になってしまいます。それがずっと続いてしまった結果、馬をしっかり見る人が少なくなったというのが一番思ったことですね。


松山主任を先頭に手分けして馬たちを収牧。

――今はそのときよりも人数は増えているのですか

 従業員の人数自体は同じですね。

――その中で生産の頭数は今どれくらいですか

 徐々に増えてきていますが、メジロ牧場の場合は32、3頭というのがベースにあるので、多少のぶれはありますが、30〜35頭の間には収まっています。

――繁殖に移ってまず初めに注目されたことはなんですか

 育成にいたときに中間育成の1歳をみていて思ったことは、昔よりも馬のコンディションが良くなり、ふっくらして見栄えがすごく良くなっていました。でも、逆にその分、脚元の問題が増えてきていて、離乳してから育成をやっている本場に来るので、だんだんそういう問題が増えてきたなと思っていました。ですから、それは何が原因なのかなと、そこから注目して入りました。
 でも、それを変えるために何をやったらいいか、今も考えているところです。自分がここにきてまだ3年ぐらいですから、まだ試行錯誤の段階でまだハッキリこれだというのは掴めていません。

――脚元の問題は徐々にでも解決できそうですか

 やっぱりすぐには変わりませんが、それでも方向性は見えてきています。ただ脚元の問題は前よりもどんどん増えてきている状況です。血統の変更などいろいろ原因はありますが、最近ならはクラブフットなどが増えていますね。やっぱり血統的にアメリカの種牡馬が増えてきていて、硬いつくりの馬が増えたことが理由にあげられますね。また、近年では離乳食などを与えることで仔馬が摂取するカロリーも増えていますから、それらに見合った放牧地の管理などを考えてく必要があると考えています。

――カロリーが多いとクラブフットになりやすいと

 すごくなりやすいですね。でも、泌乳後期の母乳だけではミネラル等が不足するので何らかの形で補ってあげなければなりません。

――クラブフットは生まれてから離乳するまでくらいに出やすいのですか

 生まれる時期にもよります。青草が十分にある時期で、夜間放牧の疲れが重なると悪化しやすくなります。先天性の馬もいて、早い馬だと生まれて1ヶ月くらいでクラブフットが目立ってきます。まだ仔馬にエサを与える前ですから、そうなるとやっぱり放牧地の問題ではないかと考えています。いろいろな原因はあると思いますが、昔に比べてメジロ牧場でも早生まれが進んだので、仔馬がまだ放牧地の地面が凍っている状態で歩かされるわけですから、そこで何かの拍子に運動量が急に増えたりしたら、当然脚にダメージを受けることになりますからね。仔馬が太っているのでは論外ですが、地面のクッション性は大事だと思います。


待ちかねていた収牧に駆け寄る馬たち。

――放牧地となると難しい問題ですね

 即効性のあることはできませんから。放牧地については時間のかかる問題だと考えています。

――この前のNHKの番組で紹介されていた作業もそういった意味合いがあったのですね

 その一環ですね。脚元の問題は何よりも放牧地の管理が大きいと思います。見直しをしていますが、やっぱりそれぞれ合う合わないっていう部分が出てきますね。例えば、草を長くしてその状態をキープして行こうとしていますが、食べるところと食べないところで草の長さに不均等なところが出てくるので、刈るたびにそのゴミが溜まって、そのせいで次の年の草が生えるのが遅くなったりします。今年は草が伸びてくるのが去年より1ヶ月半くらい遅かったので、その間にクラブフットがどっと増えてしまったことがありました。
 ですから、いろいろ試しながらどの程度がいいのか試行錯誤しています。放牧地が十分にあれば、それをローテーションで使えれば何も問題がないのですが。

――松山さんが3年近くやってみて変わってきた部分というのはありますか

 変わった部分は多いと思いますが、それが完全に機能しているわけではないので、必ずしも良くなったことばかりではないですね。

――悪いことも出てきているというのが先ほどの放牧地の話になりますね

 そうですね。やっぱり問題が解決してないことが良いことではないので。

――育成の厩舎長の方々から、以前よりも繁殖と育成が連携するようになり、情報交換を頻繁にやるようになったと伺ったのですが

 そうですね。以前は本当に完全な分場という感じになっていて、お互いの交流とかそういったものはありませんでした。お互いがそれぞれ何をやっているかわからない状況でしたから、同じ牧場ならそういうのはもったいないと思いました。特に自分は育成で10年近く働いていましたから、繁殖にきても連絡を取りやすかったですし、それも変えてく一つの目標でしたね。

――今は育成の人も当歳の状況を知っていて、繁殖から出て行った馬がどうなっているかもわかるわけですね

 そうですね。それと出産のシーズンは牧場では育成と繁殖が完全に行き来できないことになっているので、仔馬が1頭生まれるたびに記事を作って成香の本場に送ることを去年からはじめました。ですから、いつどんな馬が生まれたということは育成でもすぐ分かるようになりました。

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