昨年の2歳はアダラーラが2勝をあげたものの、その他の2歳は勝ち星をあげることができませんでした。新しいメジロを試行錯誤した2年目。7月の新潟でみごと新馬勝ちを収めたアリスが巻き返しの口火を切ると、その後もアースラ、ガストン、シーゴーとつづき、ガストンの2勝目も含め2歳で合計5勝をあげることができました。積み上げた勝ち星は意外と少ないかったかもしれませんが、ファンに与えたインパクトは格別なものでした。その中で一番目立った存在だったのがアリスでした。

　アリスは父アドマイヤコジーン、母メジロシルビアで、母父がゴールデンフェザントであることから、カロの3×3の濃いクロスを持っています。このような近親配合はおそらくこれまでのメジロ牧場では決してしなかったと思います。しかも、アリスはメジロ牧場の基礎繁殖牝馬であるアマゾンウォリアーからメジロヒリュウ、メジロラモーヌとつづく牝系から生まれており、メジロの古くからの血を受け継います。アリスは新しいものと受け継いできたものがうまくミックスした存在と言えます。

　アリスは6月末に美浦に入厩すると新潟を目標に順調に乗り込まれ、7月14日、小雨降る新潟競馬場でアリスはデビュー戦を迎えました。アリスは調教での好時計が評価され4番人気に支持されましたが、やはり骨っぽい牡馬相手では苦戦が予想されました。アリスはスタートでもたついたものの、二の脚で先頭に立つと、折り合いをつけマイペースの展開。4コーナーでは丁寧に回って直線を向くとギリギリまで追い出しを我慢し、残り200で一気に抜け出すと、ゴール前2着馬に詰め寄られましたが、クビ差抑えきり、みごと新馬勝ちを収めました。

　騎乗した岩部騎手も課題は多いものの、素直にその素質の高さを評価してくれました。そのあとのダリア賞、新潟2歳Sでは思うような競馬ができず惨敗が続きましたが、1200のオープン特別のカンナSでは道中苦しいところもありながら、早めに抜け出すと3着に粘り込み、改めて素質の高さを示してくれました。そのあとのサフラン賞でも、出遅れながらも直線鋭い決め手をみせ2着に入ると、連戦の疲れを癒すため休養に入りました。

　そして、アリスは12月の重賞フェアリーSに出走しました。結果は14着だったものの、道中のレースぶりは抜群の内容でした。久々のぶんイレ込みがいつも以上に酷く、それが最後の踏ん張りに響いたのかもしれません。アリスがあげた勝利は新馬戦であげた1勝だけでしたが、それ以上のインパクトをファンに与えてくれたと思います。2歳の活躍を代表して、アリスをメジロ通信が推薦する１頭とさせていただきます。

　今年の成績は6戦1勝（12月23日現在）。気性的にキツイところもあり、チグハグな競馬も目立ちますが、徐々にレースぶりが良くなっています。既に6戦と早熟な感じですが、父母とも息の長い活躍をみせてくれましたから、来年も引き続き期待できそうです。母シルビアはアリスが最初で最後の産駒となります。ちょっと残念ですが、その分アリスが活躍してくれるはずですし、500万円下条件ならそれほど時間はかからないと思います。岩部騎手とともに来年は大きな飛躍を期待したいですね。

日付	開催	R	レース名	距離	着	頭	人	騎手	タイム	1着馬（2着馬）	馬体重
07.7.14	新潟	6R	2歳新馬	芝1200良	1	16	4	54岩部	1:11.0	（ダイナマイトシコク）	434
07.8.11	新潟	9R	ダリア賞OP	芝1400良	8	12	10	54岩部	1:22.6	スズジュピター	450
07.9.2	新潟	11R	新潟2歳S	芝1600良	14	18	17	54岩部	1:35.5	エフティマイア	440
07.9.15	中山	8R	カンナSOP	芝1200良	3	6	6	54岩部	1:08.8	ルルパンブルー	440
07.10.13	東京	10R	サフラン賞500	芝1400良	2	16	13	54岩部	1:22.3	ラルケット	430
2ヶ月休養（放牧）
07.12.16	中山	11R	フェアリーS	芝1200良	14	16	9	54岩部	1:10.8	ルルパンブルー	424

メジロアリス

2005年2月12日生
牝　鹿毛
父　アドマイヤコジーン
母　メジロシルビア（ゴールデンフェザントUSA）
兄弟　初仔

馬主　（有）メジロ牧場
調教師　萱野浩二（美浦）
生産者　メジロ牧場（洞爺）
通算成績　6戦1勝 （12月23日現在）
総収得賞金　1500万円 （12月23日現在）