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メジロ牧場ファイナルレース・レポート

 2011年5月15日、多くのファンを魅了してきたメジロ牧場の、白、緑一本輪、袖緑縦縞の勝負服を見ることができる最後のレースを新潟競馬場で迎えました。多くのメジロファンが注目する中、最後の大役を担うこととなったメジロコウミョウのレースレポートをできるかぎり詳しくご紹介したいと思います。

パドック

 メジロ牧場名義での最後のレースとなる新潟4レース、3歳未勝利に16頭が出走。メジロコウミョウは5枠9番で、馬体重は前走からマイナス2キロの462キロ。鞍上は乗り替わりで初騎乗となる黛弘人騎手です。

 コウミョウを競馬場で見るのは今回が初めてでしたが、なかなかいい雰囲気を持っていて、非常に落ち着いた周回を見せてくれました。ただ、少し厩務員さんを気にして甘えるようなところがありましたが、ここらへんは全然問題なさそうです。

 厩務員さんが引き手をコウミョウの口元でグッと握って、しっかり周回させようとしています。コウミョウはうるさいところを全く見せずに、すごく落ち着いていました。黒いメンコを着用です。

 前走のパドックを見ていないので単純な比較はできませんが、非常に馬体がスッキリしていて、なかなかの仕上がりに見えました。半兄のメジロクリントンがゴツゴツと牛のような感じだったことを思うと、同じ兄妹なのかと少し疑いたくなるような感じです。オスメスの違いはありますが、種牡馬がアグネスデジタルからキングカメハメハから変わるだけでこうも違ってしまうんですね。

 このレースがメジロ牧場名義での最後のレースということで、多くのファンの方々が新潟競馬場に集まってくれたようです。コウミョウの停止位置あたりに横断幕がギッシリそろっていました。

 この日は前日に続いて風速10メートルを超える強風の予報がでていましたが、レースの頃には風も少し気になる程度まで弱まり、前日のような厳しい条件でのレースにはならなくて済みそうです。

 母は競走馬としてデビューすることができなかったメジロルルド。そして祖母であるメジロドーベルの血を受け継ぐコウミョウが、祖母のデビューした新潟競馬場で 、メジロ牧場としての最後のレースに出走する。何か運命づけられていたようなものを感じました。

停止命令

 いよいよ停止命令がかかり、厩務員さんがコウミョウを止めて、騎乗の用意をしています。少し周りがざわついたせいか、コウミョウは少しソワソワした感じになりました。

 それでもうるさいところは全く見せずに、何気にカメラ目線です。

騎乗命令

 一番最後にパドックに入ってきた黛騎手が騎乗命令にあわせて、コウミョウの下に。これがメジロ牧場にとっての最後のレースであることを、もちろん黛騎手も知っているはずです。

 黛騎手が丁寧にコウミョウの前から周って騎乗します。

 黛騎手が騎乗すると、コウミョウがグイッと顔を上げてレースに向けて気合いが入ってきたように見えました。非常に頼もしい感じです。

 最後の周回では、コウミョウの気合もいい具合に乗り出して、厩務員さんも少し引っ張られる感じでの周回です。

 黛騎手が掲示板のオッズを確認していました。コウミョウは5番人気の9.8倍とまずまずの人気でしたが、人気よりもここは勝利、それ以外はいりません。

本場馬入場

 地下馬道を抜けて本場馬に入ってきました。

 芝コースに入って、厩務員さんが引き手を外して、これから返し馬に入ります。

 かなり気合が乗っていたコウミョウですが、黛騎手は手綱を絞って落ち着かせながらゆっくりと返し馬に入りました。

スタート

 新潟内回りの芝2000Mは、内回りコースの直線入り口からスタートして、内回りコースを1周するコースで、内回りの短い直線は先行有利と言われています。それだけにスタートが重要となっています。コウミョウはゲート内でやや周りを気にしている感じです。デビュー戦では出遅れているので非常に心配です。

 ゲートが開くと、各馬がスタートを切る中、1頭だけゲートから出るのが遅れました。

 行き脚をつけていくも、完全に立ち遅れてしまいました。

 なんとか前に付けたいところでしたが、外から馬たちが殺到して進路がなくなり、腹をくくって後方からの競馬です。

 最後方からの競馬になってしまいましたが、もちろんレースは諦めていません。道中の走りについて詳しくはレースコメントで確認ください。

最後の直線

 最後方から向正面で徐々に進出してきたコウミョウが、4コーナーで先頭に並びかけて直線に入りました。早目に動いてきましたが、脚色はまだまだ衰えていません。

 黛騎手の懸命のアクションに応えて、コウミョウが内の2頭を振り切ったところに、今度は外から1番人気の馬が並ぼうとしてきました。

 ジワジワと外の馬がコウミョウに詰め寄ってきましたが、黛騎手のムチが鳴り、コウミョウも止まらずに伸びてきています。

 最後の力を振り絞って外の馬の猛追を凌ぎ切ると、クビ差抑えて1着でゴール。出遅れてからの大逆転劇は、本当に見ていて痺れるレースでした。メジロ牧場名義で走しる最後のレースで、勝利という素晴らしい結果を残してくれました。

歓喜の瞬間

 場内で流れていたラジオNIKKEIのアナウンサーがゴール後に、メジロ牧場にとって最後のレースだった経緯を説明されると、ターフビジョンには鞍上の黛騎手がコウミョウに大きく頭を下げる姿が映し出されました。黛騎手にとってもいろいろと思うところがあったと思います。

 ゆっくりとレースを終えて戻ってきたコウミョウと黛騎手。装鞍所に戻る最後の道も一完歩、一完歩踏みしめながら、最後の瞬間を惜しむようです。

ウィナーズサークル

 ウィナーズサークルには、通常の未勝利戦のときよりも、多くのメジロファンや報道陣の方々がかけつけて、勝利を祝福しました。自分もこの瞬間に立ち会えて本当に良かったと思いました。ただ、関係者のみなさんにとって嬉しいはずの初勝利でも、やっぱりどこか寂しさを感じてしまいました。

 でも、こんな喜びがあるからずっとメジロを応援しつづけてきたんだなと改めて感じることができました。そして、競馬を続けていれば、こんな喜びを再び味わうことができる、そんな未来をもメジロコウミョウと黛騎手が示してくれたレースだったんじゃないかと、そう思いました。

おわりに

 このレポートは勝っても負けても書くつもりで新潟競馬場に行ってきました。もちろん今回はチャンスがあると思っていましたが、最後方からの劇的な競馬で勝利をもぎ取るとまでは、正直思っていませんでした。それだけになかなか痺れるレースだったと思います。うまいレポートではありませんが、掲示板等で感想などを頂けたら幸いです。(2011.5.17)

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